輻射とは、「熱を持った物質が赤外線を出す現象」のことです。

なお、この赤外線を受けた物質が発す熱は「輻射熱」と呼ばれます。

温度ががある物体からはその温度に応じた赤外線が出ていますが、輻射式冷暖房とは物質を介さず高い温度から低い温度に熱移動する性質を利用して冷やしたり暖めたりする方法のことを言います。

この記事では、輻射熱が伝わる仕組み、輻射式冷暖房の効果について、わかりやすく説明します。

物質を介さず温度の高い方から低い方へ熱が伝わる

例えば冬、縁側で陽なたぼっこをしていると、外気温が低くても身体がポカポカと暖まります。

また夏、トンネルに入ると身体がひんやりと涼しく感じられます。

これらは、外気温辞退はほとんど変わりがないのに、太陽熱が身体に移動したり、身体の熱がトンネル壁面に移動することによって、身体に感じる温度が違ってくるからです。

つまり、輻射とは「物質を介さず温度の高い方から低い方へ熱が伝わる」という現象です。

太陽が昇ると暖かくなるのは太陽の熱によるものではなく、太陽が発する赤外線を受けた地表の「輻射熱」によるものです。

太陽が出ている時に一番暖かいのは地表ということになります。

輻射はあくまでも物体間のエネルギー移動なので、物体の間に熱を伝える媒体が存在する必要はありません。

重要なのは、赤外線や可視光線などを含む電磁波が「何らかの物体」に当たって初めて熱が発生するという点です。

輻射や輻射熱は家庭用の暖房器具にも使われています。輻射を使った暖房器具は赤外線を受けた物体そのものの熱を利用するため、「じんわりとした暖かさが続く」という特徴があります。輻射熱の優しい暖かさは高齢者や子どもがいる家庭にも最適です。

なお、輻射熱を使った暖房方法は、室温を上昇させる暖房方法とは大きく異なるため、室内ではなく、壁や床、天井の過熱が重要になります。

輻射熱を利用した冷暖房の種類とメリットとデメリット

熱の伝わり方には「輻射」のほかに、「対流」と「伝導」があります。

・対流

暖められた液体や気体は上昇して、冷たいものは下に流れる現象です。

「輻射」「対流」「伝導」の3種類は、家庭用の冷暖房器具にも使われています。

代表的な暖房器具を見てみましょう。

①エアコン・ファンヒーター(対流)

温風や冷風を放出することで、強制的に対流を起こさせる方法です。

メリット……即効性がある。

デメリット……空間の上下に温度差が生じる。長時間あたると不快。

②氷枕・湯たんぽ(伝導)

接触によって、熱が高い方から低い方へ伝わる性質を利用した方法です。

③床暖房(輻射+対流+伝導)

輻射、伝導、対流のすべてを組み合わせた暖房機器です。

温水や電気ヒーターを床下に通して床面を加熱し、床からの輻射で室内全体をムラなく暖めます。

メリット……触れた部位にすぐに温かさを感じる。

デメリット……長時間触れていると熱がこもり、低温やけどの危険性がある。

④こたつ(輻射)

テーブルの下に入れられた電熱線の輻射で足元を暖めます。

基本的には輻射熱で足を直接暖めますが、布団で密閉されているため、熱を持った足や床自体も内部の熱を維持します。

⑤ストーブ(輻射+伝導)

効率的に電気を輻射熱に変える暖房器具です。

対流効果は期待できないので、部屋全体を暖める方法としては適しません。

⑥輻射式冷暖房・パネルヒーター・オイルヒーター(輻射、製品によっては輻射+対流)

室外機で冷やされたり暖められたりした循環駅で、室内に設置した輻射パネルの温度を上下させる方法です。

輻射パネルと室温の温度差に応じた輻射によって、部屋全体に冷暖房効果が生じます。

室内がムラなく暖まり、電源を切った後も暖かさが持続しやすいのが特徴で、稼働音も静かです。

メリット……温度ムラが少ない。長時間居ても快適。

デメリット……部屋全体が暖まるまで時間がかかる。

輻射熱を利用した冷暖房設備の費用相場

床暖房と輻射式冷暖房を取り付ける場合の日数を確認しておきましょう。

既存の床に重ね梁する場合は、1日~2日程度でリフォームが完了します。

・床暖房

簡易リフォーム対応の床暖房なら内容や熱源機の種類によって異なりますが、熱源機の設置も含めて1日で完了することもあります。

新しく床を張りなおす場合には、3日~5日前後の日数がかかると思ってください。

事前に床下地の状態や寸法などをチェックする必要もあるので、その時間も含めた日数を確保するようにしましょう。

・輻射式冷暖房

輻射式冷暖房へのリフォームは1~4日が目安です。

設置するパネルの数や部屋の広さ、施工数によって日数は変わります。

なお、輻射式冷暖房の設置は必要量の概算を行たうえでパネルをせん定するため、施工前に以下の情報が必要です。

  1. 間取り図
  2. 設計図面
  3. 部屋の面積
  4. 天井高と開口部の広さ、方角

概算見積もりの作成にも約3~7日かかります。

リフォームをする場合には「輻射式冷暖房の設置にかかる日数」と「概算見積りの作成日数」の両方を考慮しておくといいでしょう。

輻射熱を利用した空調設備の施工事例

エコウィンHYBRID(スクリーンアルミタイプ)八女市 一戸建て住宅

エコウィンHYBRID(ウォールタイプ)宗像市 会社応接室

エコウィンHYBRID(スクリーンタイプ)飯塚市 会社事務所

輻射熱の暖房器具で寒い冬も快適に過ごそう

輻射式冷暖房は、室内全体をムラなく暖めてて冷暖房の効率を高めてくれます。

赤外線を受けた物質が放つ熱を使った優しい暖かさも特徴です。

導入には床暖房で25万~100万円、輻射式冷暖房では40万円~の費用が発生しますが、輻輻射パネルの素材選びやフローリングの重ね張りなどの工夫をすれば、コストを下げることもできます。

輻射式冷暖房と他の冷暖房方法を組み合わせれば、冷暖房の立ち上がりが悪いというデメリットのカバーも可能です。

高齢者や子どもがいる家庭でも安心して使うことができますので、今回の記事や導入事例を参考に導入を検討してみてはいかがでしょう。